先日、横山光輝氏が亡くなった。横山光輝氏といえば小学生のころ、近所の貸本屋で氏の作品である「伊賀の影丸」をよく借りて読んでいたのを思い出す。(そういえば、「伊賀のカバ丸」なんていう少女漫画もあったな)
「伊賀の影丸」は幕府の隠密、伊賀忍者「影丸」の活躍を描いた忍者アクション漫画。主人公「影丸」をはじめ、個性豊かな忍者達が数々の忍術を駆使してページ狭しと暴れ回る。この忍者達と忍術がとてつもなく魅力的。木の葉の術を使う主人公「影丸」、毒物が効かず姿を周囲の風景に溶け込ませるナナフシの術を使う「村雨兄弟」、あらゆる攻撃をひらりと躱す「彦三」、無数の石つぶて”岩風”で敵を攻撃する「岩風」、陽炎に身を包み無敵状態になる「かげろう」、銃を武器に戦うくのいちの「桔梗」、そして死んでもしばらくすると甦る不死身のライバル「邪鬼」などなど。
車田正美の「風魔の小次郎」のベースになったと言われる「七つの影法師」の話なんか、この忍者同士の戦いが特にスゴイ。忍者達の技の応酬と対決の連続が、現在のジャンプなどに見られる少年漫画の一つの様式の下地を作ったのかもしれない。
また、当時の少年向けアクション漫画にしては細かい登場人物達の内面の描写が、「伊賀の影丸」をただの活劇では終わらせないモノにしたと思う。「邪鬼秘帖」では數にモノを言わせる無慈悲な暗殺集団「土蜘蛛党」が、影丸の活躍で壊滅。「土蜘蛛五人衆」で残党の五人が報復のために半蔵屋敷を襲撃するも、次々と倒される。そこで最後にただひとり残った「金目」という忍者が仲間の死に際し、たった一人になってもなお悲痛なまでに復讐を誓う。「半蔵暗殺帳」の話は、徳川家にとって都合の悪い者たちを処分したリスト「半蔵暗殺帳」の争奪戦。幕府に忠誠を誓う公儀隠密である影丸に、敵の首領寒月斎の最後の言葉はどう響いたか。また、敵役邪鬼と影丸との間には幾度かの戦いを通じて、奇妙な信頼関係が見え隠れし始める。
それなりの言い分があり、仲間を大切にし、誠実に使命を全うしようと戦う憎みきれない敵役の存在(逆に勝ち誇る影丸側の伊賀者が醜く見える時すらある)が、単に善悪で割り切れない奥深い物語を生み出して、横山光輝作品を更に魅力的にする。
「三国志」も読んでいると、劉備の敵役曹操は冷酷そうな顔をしているのに、話が進むほど劉備よりも曹操にどんどん惹きつけられてしまう。横山光輝氏は劉備よりも曹操を描きたくなってしまったんじゃないかと思うほど。そう言えば「闇の土鬼」の敵役「血風党」も出だしこそは血に飢えた人殺し集団、そして物語は主人公土鬼の「血風党」への単なる復讐劇といった感じであった。が、物語は次第に幕府に厄介者扱いされはじめた「血風党」側に視点が移り、幕府側の柳生一門、忍者、宮本武蔵らも交え、本作は最後には武芸求道物語へと昇華していったのだ!
と、まあ、そんな横山光輝大先生の傑作、横山光輝版「三国志」のフィギュアがエポック社よりガチャガチャの景品として発売されていた!
その横山光輝版「三国志」のガチャガチャを南長崎のダイエーの三階で見かけたので、横山光輝大先生への追悼の思いを胸に、ダイアルをガチャリガチャリと二回廻した。
劉備三兄弟をではなく、孟徳といきなりシークレットが出た。
このシークレット、貂蝉?じゃないよなあ、この背景は・・・もしかして芙蓉?
あ、エポック社からは、赤影も出てるよ、TV版だけど。
追悼 横山光輝

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