長崎くんち(2)〜庭見せ 出島町・樺島町〜

長崎の諏訪神社のお祭り「長崎くんち」は寛永11年(1634)、高尾と音羽という二人の太夫が謡曲の小舞を奉納したのが始まりだと言われている。この年、長崎奉行は諏訪神社を長崎の氏神と定め長崎市民全て諏訪神社の氏子とした。そしてこの諏訪神社の神事を長崎市民の神事と認定した。
その背景には禁教の徹底、盛大な祭りを催し、キリスト教から長崎市民の目を逸らさせ、幕府の支配を脅かしかねない世界を席巻する強力な異国の神を封じ、その日本への浸透を阻止せんとする思惑があったのだという!
殿様の居ない天領、幕府の直轄地長崎において、長崎奉行は長崎の最高権力者。そのお奉行様に認められた「くんち」は海外貿易でしこたま儲けた長崎市民の手によって、長崎市民最高の娯楽として派手で豪華になっていった。
かつて江戸時代に定められた長崎の町割り80町、この内くんちに毎年出場する花街の丸山町、寄合町、それにオランダ人の居留地であった出島町を除いた77町を11町に分けて七年に一度各町が諏訪の神前に踊りを奉納する当番が回ってくるというルールが出来た。この踊りを奉納する当番の町は踊町と呼ばれる。
踊町は六月の小屋入りからくんちの奉納踊りの練習を始め、くんち直前の十月三日夕方からくんちで使う道具、衣装、曳き物、お祝いに送られた桃饅頭、柿、栗、酒等を店先または小屋を建てたり自宅の座敷を開放するなどして飾り、長崎市民に公開する庭見せをする。
今年の踊町は紺屋町、出島町、東古川町、本古川町、小川町、大黒町、樺島町の7町。


■出島町の庭見せ
出島町
出島町はかつては踊町ではなかったが、戦後踊町としてくんちに参加するようになったという。オランダ人の居留地であった出島だけに、出島町の演し物は「阿蘭陀船(おらんだぶね)」。庭見せは現在は出島の資料館になっている「旧出島神学校」で行われた。
ところで、画像中央の出島町の旗の印は出島の「出」をアレンジしてオランダの国旗の赤、白、青を配してある。
出島町の傘鉾
出島町の庭見せに展示してあった「傘鉾」。傘鉾とは各踊り町の先頭に立つ町のプラカードのような物。上部に「だし」と呼ばれる大きな飾りを載せ、「たれ」または「さがり」と呼ばれる広い幕を下げた傘のような鉾だ。踊り町はそれぞれ自分の町を象徴するような傘鉾を持つ。
出島町の傘鉾はそのデザインにおいても町を象徴する意味においても、かなり出来が良い。「だし」は、渾天儀、望遠鏡等オランダの貿易船が航海で使ったり交易品として出島の商館に持ち込んだ品々に出島の門鑑。飾りの下の輪の部分はビロード地に金色で「Dejima」とアルファベット表記、「さがり」の幕には航海する阿蘭陀船が描かれ、さらに出島町らしさを醸し出す。
傘鉾は物によって差はあるが重量120〜150キログラム程で、一人の担ぎ手が中に入ってこれを持ち上げ、すり足や小走りで練り歩きくるくると回って見せたりして舞うのである。
阿蘭陀船
夕暮れの薄闇に浮かぶ黒く艶やかな船体が印象的な「阿蘭陀船」。出島町自慢のこの山車は長さ6.8m、幅1.9m、重さ4トンを超える重量級の船。甲板にはドラム、シンバル、ベルリラ(鉄琴)など洋楽器とそれを演奏する超可愛らしいセーラー服姿のお囃子の少年少女を乗せ、かつてはるかヨーロッパからはるばる長崎まで万里波濤を乗り越えてやってきた阿蘭陀船の姿を勇壮な船回しで演じるという。また、出島町の阿蘭陀船は、お囃子のベルリラ(鉄琴)の音色にあわせてゼンマイ仕掛けのオルゴールのようにゆっくりと船体を回す「オルゴール回し」という非常に趣深い大技も見所だ。
諏訪神社の神事でありながら、洋風の演し物があるのが長崎らしさ。ちなみに昨年は銅座町からポルトガル船を題材にした「南蛮船」が奉納された。
■樺島町の庭見せ
樺島町の傘鉾と衣装
樺島町は昔、長崎半島の先端にある樺島から移り住んだ人々が町を作ったと言われている。そして彼らはキリシタンであったとも。
出島から少し長崎港の奥に入ったこの海岸沿いの町は海外貿易の品々を積み、日本各地に売りさばく堺の商船の人々等の宿場町として栄えたという。
傘鉾の「だし」は猿田彦の赤面と青面。樺島町から猿田彦の面が諏訪神社に奉納されたことに因むらしい。神への奉納なので、金色の御幣に榊が配され、「だし」の下の輪は注連縄。「さがり」には荒々しい波と磯の松。
コッコデショ
樺島町の人達が同町に宿泊した堺の人々から教えて貰ったと言われる壇尻がくんちに初めて登場したのが寛政11年(1799)。それ以来多少のアレンジを加えて洗練されながら、くんちの長い歴史の中で常に絶大な人気を誇ってきたのがこの太鼓山(通称コッコデショ)。
七年に一度しかお目にかかれないこの演し物。
ああ、ついに来た、コッコデショの年が!
このとてもカラフルな五色の蒲団に彩られた太鼓山を見るとかなり「くんち」気分が盛り上がってくる。
【参考リンク】
長崎のおくんち出島町阿蘭陀船
太鼓台文化圏(TBK)に生きる コッコデショのように太鼓をのせた御輿のようなヤツを太鼓台という。こちらのサイトでは各地の太鼓台を見ることが出来る。樺島町のコッコデショをベタ誉め

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