九州は福岡県太宰府にできた国立博物館「九州国立博物館」
(略して九博)へ行ってきた!
九博は東京、京都、奈良に続いてできた国立博物館、オフィシャルホームページには、
「日本文化の形成を、アジア史的観点から捉える」という、独自のコンセプトに基づき、展示を行うのみならず、文化財を守り、調査する博物館科学の現場としての、重要な役割を担います。
と、記されており、その独自のコンセプトに大注目だ!!
特に、古くから海外交流の最前線であった太宰府にできたってのが、もう、そのコンセプトをビリビリと感じさせるではないか!(アクセスが不便と感じなくもないが)
太宰府天満宮に詣でる人々に混じって、太宰府周辺の民間が経営するパーキングに駐車。当初、直接九博へ向かい、九博の駐車場に車を止めようとしたが、警備員に「一杯だから」と言われ、仕方なく太宰府天満宮周辺の駐車場を使うことにした。天満宮、九博間にはトンネルがあり、そこにはエスカレーターと動く歩道が設置されて楽に移動できる。
そして、トンネルを抜けると太宰府の緑に囲まれてギラギラと太陽の光を反射する波型の巨大なオモシロ建築が目に飛び込んでくる。
なぜ波型なのか、そして、顔みたいなのもついている。アジアとの交流に重心を置く九博、それゆえに海とか鳥とかイメージしたのであろうか?ガラスが反射して周囲の木々を映し出す、四角いコンクリートの建物よりは波型の建物のほうが周囲の自然に溶け込むのかもしれない。
中に入るとスゲー広々。波型の建築は四角い建物を覆っているという感じ。
九博で開催された展示。
開館第一弾は「美の国日本」。国宝級のお宝の数々が九州に上陸!九博のコンセプトはアジア史的な観点ではあるが、九州に国立博物館ができたおかげで、この企画のように中央でしか見ることができなかったわが国の国宝級のお宝を見ることのできるチャンスが増えた。実に喜ばしい。
今回の「中国美の十字路」は九博らしい企画と言えるだろう。本邦の文化がアジア各地と互いに影響しあってきた歴史、とりわけ中国大陸からの文化に大きな影響を受けた。その中国からこれまた国宝級のお宝が続々と上陸。これはタマラン!!
常設展のコーナーも魅力的だ。海外交流に軸をおき、その歴史を展示品とともに追っていくことができる。古代の日本をテーマにすれば、魏志倭人伝の記述、三角縁神獣鏡、金印、とかね。
九博のおかげで沢山のお宝を目にすることができるようになったわけだが、不満がある。まず、展示のしかたというか、ライティングだ。館内は薄暗く、展示品にカリッとしたスポットライトをあててコントラストを強調するという見せ方だ。最近の流行だろうか。岡本太郎が縄文式土器を世に知らしめたときの画を思い出す。見た目とってもカッコイイ。展示品がスゴク神秘的に見えるから。だが、それで良いのかとも思う。主催者側の「ココを見せたい!」という意思が強く反映する代わりに他の部分は影になりとても見づらくなる。せっかくだからいろんな視点で、いろんな部分をじっくりと観察したいと思ってもそれができないもどかしさ。インパクトはあるが、展示物そのものをじっくり鑑賞するには不向きだと思う。
また、展示品の多くが東京、京都、奈良の国立博物館やそのほかのミュージアム、あるいは個人からの借り物やレプリカであることも残念だ。「あのとき見た天目茶碗は良かった、もう一度見たいなあ」とか思っても、再び見ることは難しいってことになる。できたばかりの博物館、やはり収蔵品が少ないのだろうか。
それと、開館したばかりの珍しさのせいか、多くの人が訪れてとても混雑している。これまたじっくりと鑑賞できない。洛中洛外図屏風など、沢山の人々が描かれており、それぞれが当時の生活を感じさせる行動をしているので非常に興味深く、見所が沢山ある。それなのに観覧の行列にあわせて移動しないといけないので絵の前で立ち止まってじっくりと見ることができない。屏風の解説には、立ち止まってじっくりと観察してみてね、みたいなことが書いてあったがそんな学芸員の思いとは裏腹に会場の警備員は「非常に混雑しているので、立ち止まらずにお進みください」などと無神経なことを拡声器を通じて言う。
美術館や博物館のお楽しみの一つがミュージアムショップだ。企画展示作品の絵葉書、そのミュージアム自慢の一品を使ったグッズはやはり元がお宝なだけにココロ奪われるものが少なくない。
そんなわけで九博のミュージアムショップにも行ってみたが・・・・。太宰府なので、菅公の合格セット、そして、奇妙なヌイグルミは戦国時代の医学書「針聞書」にて病気の原因とされていた蟲達をモチーフにしたと言う。
九博に不満がないわけではないが、これができたことはとても喜ばしい。国宝級のお宝を見ることができるし、また上野ではお目にかかれないような企画展示も開催されるかもしれない。
そして、文化財に指定されたばっかりに、中央に奪われてしまった、本来九州にあるべきお宝もこれを機に九州へ里帰りすることも可能だろう。
今後の九博には大いに期待したい!!
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