長崎さるく博~スタンプラリーに挑戦!(8)皓台寺、風頭山、ハタ揚げ編~

さて、引き続き長崎さるく博のスタンプラリーに挑戦中なんですけど前回(「重文縁起よか界隈 ~寺町巡礼~」、「龍馬が見上げた長崎の空 ~風頭から亀山社中跡、そして寺町へ~」、「松森神社から諏訪神社へ ~緑に包まれた聖地・天満宮とお諏訪さん~」、「元祖長崎 ~桜馬場・夫婦川から新大工~」、「超VIP出島蘭館医「施福多」の奇跡 ~シーボルトへの道~」)の続き。
寺町の皓台寺は曹洞宗のお寺です。
16~17世紀頃の長崎は市民の多くが切支丹、神社仏閣は打ち倒され、僧侶は石を投げられるという迫害にあっていたりしたこともありました。そんななか、「長崎市民を仏法にて導かん!」と長崎入り、幕府なんかの後押しもあって皓台寺は「勅賜海雲山」と掲げるほどの長崎屈指の名刹となりました。
皓台寺
皓台寺には銅製の一丈六尺の大仏さんもいらっしゃる。頭の冠がイカス!


かつて長崎遊学を果たした江戸時代の奇才、平賀源内氏は「長崎には『か』が付くものが多い、坂と墓と馬鹿」と言ったとか。
確かに、長崎の街から周囲の山をぐるりと見回すと、グレーの墓石の色で染まった山の斜面がところどころに確認できます。皓台寺のある寺町辺りのお寺裏手の風頭山(かざがしらさん)斜面一帯にも、へばりつくように墓域が広がっています。
墓と坂
長崎さるく博ではこの寺町を見下ろす風頭山には坂本竜馬の像があったりするので、けっこう軽く観光コースに紹介してありますが、実は延々と坂道を歩かなくてはいけない、ある意味長崎らしさを堪能できる健脚コースであったりもします。しかし、長崎をディープに味わいたい方には、この皓台寺脇から墓域を抜けて風頭山に登るコースをお勧めしたいのです。なぜならば、この皓台寺裏の墓域には長崎マニアにはおなじみの長崎の歴史に名を残す人々、例えば、本邦の写真の開祖上野彦馬、西洋砲術導入に尽力した高島秋帆、シーボルトの娘で本邦最初の女医とも言われる楠本イネ、ベトナム王族の姫を嫁に貰って帰国した冒険商人荒木宗太郎、本邦で最初にラムネを製造した藤瀬氏らが眠っているから。
そんな長崎の歴史に名を残す人たちの墓を求めて、枝分かれして入り組んだ迷路のような、しかも延々と続く石組みの磨り減った坂道(もちろん木々が生い茂り昼なお暗い!)を歩くと、なんとも言えないゾクゾクとした気分になってくるのです。また、この墓域には長崎を支配した乙名や町年寄達の一族の古く豪華な墓等もありその長い年月を経た様子がまた一層・・・。
風頭山は長崎の伝統的な凧である「ハタ」をあげる競技が江戸の頃から盛んなところであったと言います。この長崎の伝統的な凧はいわゆる喧嘩凧で、相手の凧の糸に絡んで切断する事が目的の遊びで、なんとタコ糸(長崎ではヨマと呼ばれる)には砕いたガラスの粉末が糊で塗りつけられた「ビードロヨマ」が使用されるのです。江戸の昔から大人こそが夢中になる遊びで、お金持ちのおじさんたちはお弁当にお酒、芸者さん達を引き連れて、食べたり飲んだり踊ったりしながらハタ揚げを楽しんだと言います。
ハタ揚げは長崎市民の代表的なレジャーだったので市内には結構あちこちにハタを作る職人さんが住んでいてハタ屋さんがあったと記憶しています。我が家の近所にもハタ屋さんがありました。またこのハタ屋さんは駄菓子屋も経営し、提燈や正月の飾りなども作っていて、駄菓子を買いに行くとそのすぐ脇で職人のおじいさんがハタや提燈を作っており、私はそれを眺めるのが好きでした。なんかね、木枠に竹ひごを通して紙にさーーーっと糊を塗って貼り付けていくんですよ、それが皺一つよらないんです。アレはもう、魔法でした。
小川凧店
そんな職人の技を持つハタ屋さんも、長崎ではこの小川凧店ぐらいしか残っていないと言います。競技人口の減少がその原因かもしれません。私も小学生の頃ハタ揚げに挑戦しましたが、難しい。そしてハタは工芸品でありますから、ちと、小学生には高価です。糸を切られたハタの所有権はそのハタを拾った人に移るというルールも過酷で散財は必至と言えましょう。平賀源内が言った「長崎に多いもの」の「馬鹿」はハタ揚げに熱中する大人たちを指していたかもしれません。カラフルなハタもビードロを絡ませたヨマも決して安いものではなかったはずで、いい歳こいて仕事もせず、昼間からハタ揚げ熱中して財産を潰すものもいたといいます。
春先に唐八景というこれまたハタ揚げが盛んな山に行った時のこと、ハタ揚げに興じるオジサンたちの一団がいました。近寄ってハタを見せてもらったら、なんとヨマ(タコ糸)に針金でフックが装備されていました。オジサンの話ではこのフックで敵のヨマを引っ掛けると、実に自慢げに言うではないですか。ヨマ(凧糸)を切られ風に流される敗者のハタをこのフックで引っ掛けて回収するらしい。「なんと、そこまでやるのか!」と度肝を抜かれました!!
オジサンたちはカラフルな自慢のハタを高く高く揚げて巧みに操り、相手のハタに絡ませ、ヨマを切る。そしてその度に「ヨイヤー」と大きく歓声をあげていました。そんなオジサンたちはとてもとても楽しそうでした。私も、あと10年ぐらいしたら、ハタ揚げデビューして馬鹿になりたいな!!

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