ソーサリー

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 中学生の時、新聞の書評欄か広告欄か(良く憶えてないが)を眺めていてモノクロのイラストに目がとまった。そこにはヒゲを生やした老人が水晶玉に手をかざし、その頭の上に蛇だか竜だかが、こう、ガーっと湧き上がっている本のカバーイラストだった。そう、あれは「火吹き山の魔法使い」だった。そのときまだDQは発売されてなかったけど、パソコンではそれなりにファンタジーをテーマにしたゲームが出ていた。オレはその当時の暗く危険な剣と魔法の世界に不思議な魅力を感じていたので、このゲームブックに興味を持った。「コレを読んでみよう」と。そして本屋に行ってみると「火吹き山〜」はどういう訳か置いて無かった。無かったので代わりに買ったのが何となく手に取った「ソーサリー 魔法使いの丘」であった!
 最初に手に取ったゲームブックが「運試し」をしたわけでもないのに「ソーサリー 魔法使いの丘」!
 何たる運命の巡り合わせか。
 これぞまさしく女神リーブラの思し召し、あるいは策略の神ロガーンの悪戯!?
 最初の数ページを読んで、すぐさまこの本にハマッタ。あの冒険心をくすぐる文章。本文は言うまでもなく、もうルールの説明だけ読んでてもたまらなくなった、巻末の魔法書にもワクワクした、ブランシェのイラストにもスゴクココロかき乱された。そしてさらに、この一冊が大いなる冒険の第一章にすぎないと知ったときの興奮と言ったら!何かと感じやすい中学生の頃の体験とは言え、このシリーズ以上に「次の一行、次の一頁(次のパラグラフ)そして次の一冊」と渇望してページをめくらせた本などいまだに巡り会ったことがない。
 ああ、「ソーサリー」を読んだことがないヒトは、「時の蛇」の恐ろしさも、「ミニマイトのジャン」の憎たらしさも知らないし、もちろん、「あちらとこちらにキス」をしたことも無いのだろうなあ。なんてかわいそうな!!
 でも、そんな「ソーサリーを知らずに僕らは育った」世代の諸氏を心優しき女神リーブラは見捨てなかった!創土社でかつて名作と呼ばれた「ソーサリー」をはじめとする幾つかのゲームブックが復刻されている。第一弾として「魔法使いの丘」が「シャムタンティの丘を越えて」という題名で、「城塞都市カーレ」は「魔の罠の都」という題名で復刻。また、「送り雛は瑠璃色の」とか「展覧会の絵」、「チョコレートナイト」なんかも復刻なので、その筋の方々には嬉しいかぎり。「ウォーロック」達は是非、創土社の「剣社通信」を覗いてみよう「さあ、ページをめくりたまえ!」
 あ、それとソーサリーのiモード版もアリ。

コメント

  1. M@NIAC LIFE より:

    忘れじの80’sカルチャー「ゲームブック」が復活の兆し!?

    「ゲームブック」が復活の兆し!?(Excite)
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    80年代に流行した「ゲームブック」がブーム再燃傾向にあるようです。
    このデジタル時代に、めくって戻ってサイコロふって…
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    当…

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