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2005年02月05日

へんないきもの

小学生の頃、オランダ坂の近くの書道塾に通っていた。
洋館が建ち並ぶ崖の下、チョット薄暗く湿っぽい場所にその書道塾はあった。指導する先生は痩せて小柄なくせに異常に迫力があるジイサンで、名をトラオといった。塾で指導をしているとき手持ち無沙汰になると釘の頭でゴリゴリと耳掃除をし、児童が不真面目な態度を見せたりすると文鎮で頭を殴り、いくら指導しても同じような間違いを続けていると、「こん馬鹿が何遍言えば分かっとか!」と怒鳴って児童が書きあげた字を朱墨でぐちゃぐちゃにして半紙ごと丸めてポイと捨てるという、子どもにとってはとにかくとても恐ろしい、まさに鬼のような先生であった。しかし、その熱心な指導のお陰で、確かに上達は早かった。その書道塾に通う連中の書いた字は、公民館あたりの生温い講座でお習字を習ってる連中の書いたユルい字よりも格段に巧く、小学校の習字の時間に披露される彼らの作品は、その時間を担当する国語の教師さえも凌駕するかと思われた。トラオ先生はホントに恐ろしかったが「確かにこの先生のお陰で巧くなっている」ということは子どもながらも認めざるを得ず、やはり尊敬せずにはいられなかった。
が、その書道塾にはトイレが無く、男子はもよおしてくると、その書道塾から外に出て、表にある溝、東山手の洋館群(現在でこそ観光地に整備されているが、当時は普通に人が暮らすアパートだった)から続く急な階段の下で立ションするのがルールであった。(女子がどうしていたかは謎)
ある日、その書道塾で恐ろしいトラオ先生に二度書き(一度書いた文字に上から筆を入れて形を修正すること、墨の濃さが違うのでたいていバレる)がばれ、しこたま怒られた。いたたまれなくなり、べそをかきながら涙を隠すように外へ出た。「怒られたから、逃げるために外に出たんじゃない、ちょっとトイレに行きたかったから外に出たんだ」と自分に言い聞かせるように、尿意もないのに件の溝に向かった。そしていざ放尿という段になりふと溝をみると、サクラクレパスの黄土色の絵の具チューブを伏せながらしぼり出したような、長さ30センチくらいの黄土色の平たい細長いヒモがあるのに気がついた。そしてそのヒモ、よく見ると先端は奇妙な半月型、そしてぬらぬらと光を反射させながら動いているではないか!
「これは、”いきもの”なのか?!」学校の図書室にあった動物図鑑にも昆虫図鑑にも魚介類の図鑑にもこんなの載ってなかった!
あまりに奇妙な未知の生物を目の当たりにしたショックで、もう、怒られたことなどすっかり忘れてしまっていた。
ヤツは、コウガイビルだった。

へんないきもの
へんないきものという本を読んだ。この地球に生きる珍妙な生き物をリアルなイラストと軽妙な文章で解説するとても愉快な本。少年の頃、あの書道塾の側の溝で見たコウガイビルも勿論取り上げてある。そして、有明海のケーブシャークこと”ワラスボ”も。
本の帯に描かれているクマムシは摂氏150度から絶対零度、真空にも6000気圧の高圧にも、放射線にも耐えるという驚異の”いきもの”。

コウモリダコ
一部で熱狂的なファンがいるコウモリダコもご覧のようなイラストで紹介してある。
地球上に実在する奇妙な”いきもの”についてちょっと興味がある方の入門書としてお勧めしたい。

【参考リンク】
THE KGB FILES・・・・・KGBとは旧ソ連の秘密警察のことではなく、コウガイビル(Kou-Gai-Biru)の事。
クマムシ ゲノム プロジェクト・・・・・「クマムシは、緩歩動物門 Tardigrada に属する強靭な生命力を持ったナイスな生き物です。」

2004年10月01日

天使と悪魔

ダ・ヴィンチ・コード のダン・ブラウン作、天使と悪魔を読んだ。

天使と悪魔

ハーヴァード大学宗教象徴学教授ロバート・ラングドンは欧州原子核研究機構所長マクシミリアン・コーラーから電話を受け、ある紋章の説明を求められる。紋章は秘密結社「イルミナティ」(十七世紀にガレリオが創設した科学者たちの結社)のもので、この世にはもう存在しないはずの伝説の紋章だった。それが男の全裸死体の胸に焼き印として押されていたのだ。そして殺された男は最近極秘のうちに世界初の大量の反物質生成に成功した科学者だった!
反物質は核の数十倍のエネルギーを持つが、それが殺人者に盗まれそして密かにヴァチカンに持ち込まれたという・・・・!

ダ・ヴィンチ・コード の前のエピソードになる。ダ・ヴィンチ・コード 同様に奇怪な死体から始まる本作、舞台は最先端の物理学の研究所からカトリックの総本山ヴァチカンへと飛ぶ。物質の最小単位を追求する為の粒子加速器と精神世界の頂点たる法王選出の為のコンクラーベ、この両方が描かれる作品なのだ。そしてこの事件を通して描かれる本作のテーマは宗教VS科学!だそうな。と、言うと何やら深遠なテーマの作品のようだが、宗教も科学も信仰していないオレにとってはさほど、ココロに突きつけられるようなモノは感じられなかった。っていうかヴァチカンVSテロリストって感じで話は進んでいくんだけれど・・・、まあ、読んでからのお楽しみ。
そしてダ・ヴィンチ・コード 同様、物語のカラクリが読んでる途中で何となく分かってしまうという、部分も気にしちゃあいけないよ。
主人公のラングドン教授が図像学の専門家なのにラファエロにはちと疎いという驚きの事実が判明したりしてちょっぴり情けなくて、たびたびドジを踏む、が、それもご愛敬。教授の凄さはどんな危険な命のやりとりの最中でも、どんなピンチに陥っても、ついつい泉のごとく湧き溢れてきてしまう蘊蓄の数々にあるのだ!

【参考リンク】
欧州原子核研究機構(セルン)のHP
ヴァチカンのHP

2004年09月23日

ダ・ヴィンチ・コード

ダ・ヴィンチ・コード を読んだ。

ダ・ヴィンチ・コード

ルーブル美術館館長ジャック・ソニエールが館内で死体となって発見された。ソニエール殺害当夜、面会の予定になっていたハーヴァード大学宗教象徴学教授ロバート・ラングドンはフランス警察より捜査協力を求められる。そしてラングドンが見たものはウィトルウィウス的人体図を模して横たわったソニエールの奇妙な死体だった!(こんなやつ

こうして始まった奇怪な殺人事件。この奇妙な死体は強烈なダイイングメッセージで、この謎をラングドン教授が解き明かしながら物語が進む。

なんとも荒唐無稽な部分があるのは否めないし、あまり欧米のキリスト教文化と縁がない我々には共感できない部分もあるかも知れない。そして、この作品で述べられていることは作品中でもあるように昔から一部で語られていたことで、その方面に詳しい人々にとってはさほど斬新なものではないし、また、その説も数ある解釈のうちの一つでしかないんだろうけど、ラングドンの謎解きシーンはやはりそれなりにエキサイティング!
陰謀とか、秘密結社とか、原始キリスト教とか、図像学とか興味ある人は必読!

【参考リンク】
・角川書店、「ダ・ヴィンチ・コード」のオフィシャルサイト
・「ダ・ヴィンチ・コード」の著者ダン・ブラウンのオフィシャルサイト
・ウィキペディア 「レオナルド・ダ・ヴィンチ」

2004年09月15日

ダーティペアの大復活

宇宙最凶の美女二人が復活いたしました。

ダーティペアの大復活
みなさま良くご存じの高千穂遙氏の人気シリーズ、ダーティペアの新作「ダーティペアの大復活」です。前作の結末では毎度のごとく大変なことになっていましたが、彼女たちは帰っててきたのです!内容について語るのはネタバレになるので止しましょう。と、いうかどんな内容でも良いでしょう、ケイとユリがまた私たちの前に現れたのですから!(FLASHとかじゃなくて!)
そして見てください、この安彦良和氏のカバーイラスト!やはりダーティペアは安彦良和氏が描くムッチムチな絵でなくては!!

2004年07月26日

ろまんが

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新井理恵先生の最新刊『ろまんが』第1巻を読んだ。
コンチキチ・マチカーナに”若返りの妙薬”を飲まされそうになったとき、エリザベスが「いやあぁあ なによコレぇ きもちわるいぃーっ!! ひいいい」と叫んで拒絶するシーンがイイ。
新井先生といえば、カゼ気味のとき1週間ほとんど寝ずにメシもロクに食わずぶっつづけで『ドラゴンフォース』をプレイしたら体調が悪化して1ヶ月間寝たきりになった経験がある程、ゲームが好きらしい。そういえば、新井先生は26歳のときイノッチ似の男子高校生(当時)とデキチャッタ結婚したけど、二人が出会ったきっかけもゲームの通信対戦だったらしいし。なんだか私生活も漫画みたいですね。

2004年07月25日

げんしけん

げんしけん』第四巻を読んだ。

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木尾士目先生が「アフタヌーン」で連載中のこの漫画は、大学のサークルを舞台に、オタクの日常を描いたもので、同人誌即売会をめぐる人間模様を描写したゲーム『こみっくパーティ』の超特大目覚まし時計(↓)のアラームと共に起床し、

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”ゆりかもめチョロQ”(↓)と

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”歩くビッグサイト”(↓)を競走させたりして

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ココロのスキマを埋めている私のようなオタクにとってはこたえられない、シブすぎる作品となっている。尚、2004年10月からアニメ化されるらしいので、そちらにも期待したい!

2004年06月26日

トンデモ本の世界〜空想科学読本〜俊平1/50

ゲーム貴族の皆さんの間ではグループSNEの活動の方が有名かもしれない山本弘が会長を務める「と学会」の新刊、「トンデモ本の世界S」と「トンデモ本の世界T」を本屋で見かけた。
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今回は「トンデモ本の世界T」を読んだ。こちらは、二章「疑似医学系」に「ゲーム脳の恐怖」、五章「トンデモ世界研究本」にバカゲー界では有名ながっぷ獅子丸の「ゲーム業界のフシギ」が取り上げられているから、ゲーム貴族の皆さんも目を通してみてはいかが?
これぐらいだったら立ち読みでも充分。
他にも、「バカでマヌケなアメリカ本」の紹介も良い。流石は唐沢俊一、抱腹絶倒の面白さ。
トンデモ本の世界S」の方では世間をちょっとだけ騒がしたアポロ月着陸捏造説の番組などを取り扱ったりしている。

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最近の山本弘の長編作品に「神は沈黙せず」というのがある。数々のトンデモネタがばらまかれており、実に山本弘らしい作品で意外に面白かった。

山本弘の本といえば、「こんなにヘンだぞ!『空想科学読本』」というヤツもあった。この本は特撮やアニメなどフィクションの設定をわざわざ検証して、そのおかしさを楽しむ「空想科学読本」という本を更に検証してその間違いにツッコミを入れて楽しむ本。
「空想科学読本」と言えばずいぶん昔、学生のころサークルの部室に誰かが置きっぱなしにしてあったのをパラパラ読んだ記憶がある。ゴジラの体重がどうとかこうとか書いてあったような・・・。あんまり面白いと思わなかった。ゴジラは熱線を口から吐いて放射能をばらまいたりするのだ、もう、ヤツの体重が適当かどうかなんて論じてる場合じゃあない。
そう思ってると、オレの、特撮とか怪獣とかにとても詳しい先輩が「この本は駄目だ」と憮然として言い放った。なんでも、この空想科学読本で取り上げられている怪獣のデーターが間違っているとのこと。更に、「そんな間違ったデーターで計算して作品を笑いものにするのが許せない」と言ったのであった。
作品に愛を持っている方々は、たいてい同じことをおっしゃる。あの先輩、「こんなにヘンだぞ!『空想科学読本』」を読んだらどんな感想を持つだろうか?

書店では「トンデモ〜」と「空想科学〜」はたいてい同じコーナーにある。「空想科学読本〈4〉」を立ち読みしてみたが、ヤッパリあんまり・・・。もともとフィクションである作品を取り上げて、現実の定理や公式に当てはめて計算してもなあ。それに、エヴァンゲリオンの共同墓地の部分など、おかしな数字が出るように意識していてるようなところも確かにある。
「空想科学〜」の著者の柳田理科雄は塾の講師をしていたという。「空想科学〜」は勉強に興味を持たない生徒が授業に集中するように、生徒が関心を持ちやすい題材としてアニメや特撮を選び、それに公式を当てはめて計算、「ほら、計算によると、現実ではこんなことになるんだよ」とか言って生徒を注目させる。元はそんなノリのつもりだったんじゃないかなあ。生徒達の関心を引きさえすれば良い、むしろおかしな結果が出た方が都合が良い。
空想科学読本〈4〉の巻末に「読者が科学に興味を持ってくれることを最優先に〜」とか書いている。塾の講師時代に「空想科学〜」と同じネタで授業をしてたかもね。まあ、「空想科学〜」の一冊のうち2〜3章ぐらいでお腹一杯。それに巨大化したアキコ隊員のトイレの心配をするようなネタでは、もうオジサンは笑えなあ。(巨大化する人間といえば、「巨人獣(ザ・パラノイド)」を思い出す。)
矛盾に満ちたアニメや特撮の世界の出来事をとりあげるなら、笑い物にせずにそれらを実現するためにはどうすればいいかを、真面目に検証して論じてみた方がよっぽど興味深いと思う。

そういえば、「空想科学読本」の柳田理科雄が監修する山本貴嗣のイブニング掲載の「俊平1/50」があんまり面白くない。なにやら説明的すぎる。
漫$画太郎先生の「樹海少年ZOO1 1 (1)」で連載開始早々に「ドリアン」と「スサノオ」という強烈なキャラが惜しくも死んでしまう。これはとても衝撃的で面白かったけど、この「俊平1/50」でもヒロインであろうと目星をつけていた少女が、いきなり死ぬ。それも「表面張力」の説明のために!
山本貴嗣は昔から説明シーンが入る漫画が多かったけど、今回は特に多い。なんか設定に縛られてるのではなかろうか?
昔の、「超人日記 」や「エルフ・17 」とか楽しかったなあ。「超人日記」第1巻の巻末に、おもちゃ箱をひっくり返したようなSF世界や、古きよき時代のペーパーバックこそが安住の地であると書いていたのに・・・。

もっとも「俊平1/50」は編集部の意見がかなり色濃く反映されているそうなので、山本貴嗣にはちょっと同情。また、製作雑記を読むと山本貴嗣の作品に対する姿勢が見えてくる。本作、最近は、アリと戦ったり女性キャラの露出が増えたりと、ちょっと山本貴嗣らしくなってきたようなので今後に期待。

【参考リンク】
山本弘のSF秘密基地
と学会山本弘問題連絡会
空想科学研究所
パソコンに熱中するとキレやすい…脳科学者が指摘

2004年06月19日

シーボルトの眼 出島絵師 川原慶賀

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鎖国時代江戸末期の長崎が舞台のねじめ正一作の時代小説、「シーボルトの眼 出島絵師 川原慶賀」を読んだ。オランダ商人達の居留地であった出島に出入りを許され、シーボルトお抱えの絵師になった実在の絵描き川原慶賀が主人公。
史実の上では川原慶賀は日本の自然、文化風俗を研究していたシーボルトの求めに応じて、日本の植物や街並み、お祭りの様子など、大量の絵を描いた。が、日本を出国するシーボルトの積み荷から地図等の国外持ち出し禁止の品が見つかり、すわ、国家機密の漏洩と大問題になった。(実は持ちだし禁止と言われた件の地図も半ば公然と流通していたもので、功を焦った奉行の勇み足だったとの見方もあるそうな)
慶賀も始終シーボルトにひっついて一体何をしてたんだと、こっぴどく叱られ牢にも入れられた。ところがこの慶賀、なかなか懲りない人のようで、その後も禁を破るような絵をオランダ人に描き、再びこっぴどく叱られた揚げ句長崎追放処分。その後晩年の消息は知られていないので、不遇のうちに寂しく死を迎えたと言われている。
しかし、事件の後、田口慶賀の名で描いた肖像画が、長崎の旧家に残ってるそうなので、実は追放されても密かに長崎に舞い戻り、こっそり絵を描いていたのかもしれない。そんなどこか飄々とした雰囲気を感じさせるのが、この出島絵師川原慶賀。

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川原慶賀が描いた、長崎に存在したもう一つの外国人居留地、唐人屋敷での蛇踊りの図。蛇踊りの動きはダイナミックだが、全体として淡泊な印象を受ける絵。絵の中央、土神堂というお堂の奥の方に消失点を設定した遠近法で描かれている。
流石はシーボルト先生お抱えの絵描き、洋風絵画の技法を取り入れたというわけだろうか。また、画面全体から受ける淡泊な印象は、記録することが目的の絵画で、事物の客観性を重視するが故か、または慶賀自身の本性の顕れではなかろうか。
「特に植物画において非常なる技量を持っていた」とシーボルトは慶賀のことを評している。こういう絵が描けるから、或いはそういう素養があると踏んだからこそ、シーボルトは自分の研究のパートナーに慶賀を選んだのかもしれない。

さて、物語の中の慶賀は実にイイヤツだ。別に善良だとかそういうわけではない。飄々としながら、えげつない絵で稼ごうともするし、気に入らない相手を絵で辱めたりもする。しかし基本的に画業には真剣。ときに自分の技量に慢心し、ときに才能及ばぬコンプレックスに悩む。また周囲の人間に対して実に誠実で情深く、恩に報いようとする姿がどうにも憎めない。
物語前半部分の丈吉への思いやりなど特にスバラシイ。そして後半は葛飾北斎の娘、阿栄が登場、この阿栄がまた面白く、物語に一風変わった花を添える事になる。
洋風絵画の技法を習得し、シーボルト他のオランダ人達の依頼に応じ数千点にも及ぶ絵を描くことで海外に当時の日本の自然、文化風俗を知らしめた人物であるにもかかわらず、本作では慶賀の実に町絵師らしい庶民的な感じがチラチラ見えて兎に角楽しい。偉大な功績ありと、もっと評価されても良さそうだが、物語では、そんなこととは関係なく日々を暮らす。画業に対するプライドはあっても大望無く仕事をこなし、様々な事件に遭遇しながらも、自分なりの幸せを求めて日々過ごしてゆく慶賀がとても正しく見えた。

現在は埋め立てられてしまった出島。岸壁のカーブにその面影を残す出島の脇、江戸町辺りを本作読了後車で走っていると、かつての出島が復元工事中なのが見えた。そこにある建物をチラリと見ながら
「はて、慶賀が詰めた画工の部屋、シーボルトの医務室、カピタンの建物なんかは一体どれにあたるんだろうか?」とちょっと気になった。

【参考リンク】
シーボルト記念館
史跡「出島和蘭商館跡」

2004年04月23日

つげ義春「ねじ式」サイン本

青林工藝社のサイトで、つげ義春の「ねじ式」サイン本を抽選で販売しているぞ。
http://www.seirinkogeisha.com/book/p_040423.html

つげ氏のサイン本なんて、最近では滅多に手に入らないから、とても貴重だね。
締め切りは、5月5日なので、お早めに。

2004年04月14日

コミックビーム

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コミックビームを買ってきた。この雑誌だけは毎号読んでいる。アスキーコミックの頃からの付合い。アスキーコミックとはずいぶん趣が変わってしまったけれど、面白いから良いや。そんなビームも、先日ついに通算100号を突破した。いやめでたいめでたい。
それはそうと今月号では、ドラッグ漫画「ウルトラヘブン」が二年ぶりに掲載された。薬物によるフラッシュバックや幻覚などの経験はないけれど、すごいな、この描写は!
連載2回目の「Astral Project 月の光」も次号が気になる作品。ストーリーも気になるが、この作品、なんとなく「狩撫」臭い。つい、ビームに原作つきの新連載が始まるたびに原作が「狩撫麻礼」じゃないかと、主人公の独白や登場人物のセリフの言い回しに独特の「狩撫節」が無いか気にしながら読んでしまうんだけど、どうも「狩撫」臭い。
羽生生純の「青 オールー」は修羅場が最後には・・・。そう、羽生生純と言えば「恋の門」が映画化ですって、まあ、大変。
しかし、今号のビームで最も印象に残った作品は、やはり森薫のメイドさん漫画「エマ」。もう、エマの表情がたまらん。続きはどうなるのかしら!
ところで、ユージンから「シャーリー」のフィギュアが出てる!だがしかし、そこはそれ、流石はユージンの仕事と言うべきか、この出来は画像を見るかぎりでは微妙、というか正直、拙い。
「でも、たとえ拙い出来でもシャーリー、シャーリー・メディスン、彼女が、メイドさんが家にやってくるなら・・・。」

と、いうわけで、今月もビームを楽しく読ませていただいたのでした。

2004年03月05日

Beep(ビープ) 復刻

Beep(ビープ) 復刻だとーっ!

「ヤタタウォーズ」、ソノシート、「バグねこたいにゃん」、「ゲーム小僧」、氷水芋吉、SHOTAN、YAS、TAKE-ON(たけおん)・・・懐かしい、なにもかも懐かしい。
昔、ラジアメのイベントに取材に来ていた「えいりやん」と握手した私としては、是非とも購入していきたい!!

これまでに刊行された全56冊をピックアップという形で完全再現。 当時の表紙や特集企画などを紹介します。 また人気の高かった特集や企画・連載などをよりすぐった形で、別冊付録として「Beep」をまるごと1冊(128p)でリメイク再現。 特別付録第2弾として、前述した当時の人気付録であるソノシートに収録されたゲームミュージックをCD-ROM 2枚組で可能な限り再現。(収録タイトル数は約40曲) またこの復刻企画に対して、セガのサウンドクリエイター達がオリジナルソングを作詞・作曲。このオリジナルソング「Beep! エターナル」を収録いたします。 付録CD-ROM の主な収録タイトル 「スペースハリアー」「ハングオン」「ファンタジーゾーン」「アウトラン」「アフターバーナー」(セガ) 「ダライアス」「レインボーアイランド」「ニンジャウォリアーズ」(タイトー) 「グラディウス」「悪魔城ドラキュラ」(コナミ) 他 多数

2004年02月12日

ウメゾロジー

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ホラー漫画の巨匠 楳図かずお先生にゆかりのある地を訪ね歩き、その模様を楳図タッチの漫画でレポートする同人誌『ウメゾロジー』が面白い!

↑の漫画は、楳図先生がゲスト出演するイベント「マギー司郎独演会」を訪れる「手品師入門の巻」

その他、楳図先生の長野県の別荘「MAKOTOCHANS HOUSE」を見学に訪れたり、「人こぶの怪」にちなんで、堀切菖蒲園のいぼとり地蔵尊(極楽寺)を訪れたり、「Rojin」の主人公にあやかってウナギの蒲焼き作りに挑戦したり、「14歳」のチキンジョージに絡んで日本ハムの工場で照焼チキンのできるまでを見学したり等々。楳図ファン KANE氏のバイタリティには、恐れ入ります。

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現在、4巻まで出ていますので、楳図ファンならば購入必至でしょう!

・タコシェ
東京都中野区中野5-52-15 中野ブロードウェイ3F
・まんだらけ中野店(マニア館)
東京都中野区中野5-52-15 中野ブロードウェイ4F
・まんだらけうめだ店
大阪府大阪市北区堂山町9-28
・高円寺文庫センター
東京都杉並区高円寺北2-10-5
・模索舎
東京都新宿区新宿2-4-9

上記書店で扱われていますが、ホームページでの通販も行われていますので、遠方の方は、是非利用してみてください。

2004年02月10日

ベルセルク第26巻

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「ベルセルク」の26巻を読みました。皆さんはどうですか、もうとっくに読んじまいましたかそうですか。
私は「ベルセルク」の容赦ない展開と表現がわりと好きであります。グリフィスが受けた拷問なんかもう、どうなることかと。
その後の「触」も凄かったですよね。ああ、「触」といえばコルカスの最期なんて良かったですね。コルカスの生涯最高の見せ場でありましょう。ああいうキャラ大好きです。あんなヤツもちゃんと最後まで描きつくして、それなりの最期を用意しているのがこのベルセルクのすごいところではないでしょうか!
ところで最近は魔女っ娘シールケちゃんの登場でガッツの周りもますます華やかになりました。このシールケちゃんも素晴らしい。やせっぽちで頭が大きく、その体型はまさに少女。彼女は結局皆がガッツに引っ張られて動いてしまうのにムッとして、自分の未熟さにちょっぴり落ち込んみ、そしてお師匠さんとの別れを納得できずに涙してしまうけど頑張って立ち直るという、とても可愛らしい女の子なのです。
あ、でもこの本は容赦のない「ベルセルク」。いつしか彼女にも容赦のない最期が訪れるかも知れません。そう思うと、もう、たまりません。そんなことまでついつい考えさせられてしまいます。
いやあ、面白いですねえ「ベルセルク」。

2004年02月08日

まんがサガワさん

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この『まんがサガワさん』は、パリ留学生人肉食事件の犯人として有名な佐川一政氏が自ら手がけた漫画だ。
被害者のオランダ人の女子大生をナイフで解体する様子や人肉の味について、克明に描写されているのが衝撃的だ。絵に関しては、初めて描かれたというわりには、上手く描けているように思う。これは、氏が幼少時から油絵をたしなんでいたためのようだ。

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このサインは、中野タコシェにて出版記念サイン会が催された際にいただいたもの。
当日、佐川氏と同席していた編集者の方が、来場客を見て「意外と普通のお客さんが多いですねぇ」などと雑談していたのが印象的であった。

本書のあとがきで、氏は、「僕はアウトローか。人を殺めてしまったんだから、そうに決まっている。でも正直のところ、自分ではそうは思ってはいない。結構イイ奴なのだ」とある。
そういえば、わたしがサインを貰ったときも大変丁寧に対応していただいた。
しかし、こんな礼儀正しい方が、あんな事件を起こしたのだ。でも、不思議と嫌悪感は感じなかった。

2004年01月16日

豆腐小僧双六道中ふりだし

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 本屋に行ったら「豆腐小僧双六道中ふりだし」が売ってあった。
 「豆腐小僧双六道中ふりだし」は京極夏彦お得意の妖怪もの。お盆に紅葉豆腐を載せ、笠をかぶった頭の大きなコミカルなキャラクター豆腐小僧が本作の主役。本の装丁も、紅葉豆腐を意識したのか真四角で、白くて、裏表紙に紅葉のシンボル。
 妖怪って何ですか?そんなことを考えてる妖怪好きな貴方は、ちょっと読んでみて。面白かったよ。とか思ってたら、あら?京極夏彦直木賞受賞ですって。
 まあ、でも、そんなことより、芥川賞の綿矢りささんの方が気になるわ。

大沢在昌・ 京極夏彦・宮部みゆきの公式ホームページ「大極宮」

2004年01月11日

ソーサリー

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 中学生の時、新聞の書評欄か広告欄か(良く憶えてないが)を眺めていてモノクロのイラストに目がとまった。そこにはヒゲを生やした老人が水晶玉に手をかざし、その頭の上に蛇だか竜だかが、こう、ガーっと湧き上がっている本のカバーイラストだった。そう、あれは「火吹き山の魔法使い」だった。そのときまだDQは発売されてなかったけど、パソコンではそれなりにファンタジーをテーマにしたゲームが出ていた。オレはその当時の暗く危険な剣と魔法の世界に不思議な魅力を感じていたので、このゲームブックに興味を持った。「コレを読んでみよう」と。そして本屋に行ってみると「火吹き山〜」はどういう訳か置いて無かった。無かったので代わりに買ったのが何となく手に取った「ソーサリー 魔法使いの丘」であった!
 最初に手に取ったゲームブックが「運試し」をしたわけでもないのに「ソーサリー 魔法使いの丘」!
 何たる運命の巡り合わせか。
 これぞまさしく女神リーブラの思し召し、あるいは策略の神ロガーンの悪戯!?
 最初の数ページを読んで、すぐさまこの本にハマッタ。あの冒険心をくすぐる文章。本文は言うまでもなく、もうルールの説明だけ読んでてもたまらなくなった、巻末の魔法書にもワクワクした、ブランシェのイラストにもスゴクココロかき乱された。そしてさらに、この一冊が大いなる冒険の第一章にすぎないと知ったときの興奮と言ったら!何かと感じやすい中学生の頃の体験とは言え、このシリーズ以上に「次の一行、次の一頁(次のパラグラフ)そして次の一冊」と渇望してページをめくらせた本などいまだに巡り会ったことがない。
 ああ、「ソーサリー」を読んだことがないヒトは、「時の蛇」の恐ろしさも、「ミニマイトのジャン」の憎たらしさも知らないし、もちろん、「あちらとこちらにキス」をしたことも無いのだろうなあ。なんてかわいそうな!!
 でも、そんな「ソーサリーを知らずに僕らは育った」世代の諸氏を心優しき女神リーブラは見捨てなかった!創土社でかつて名作と呼ばれた「ソーサリー」をはじめとする幾つかのゲームブックが復刻されている。第一弾として「魔法使いの丘」が「シャムタンティの丘を越えて」という題名で、「城塞都市カーレ」は「魔の罠の都」という題名で復刻。また、「送り雛は瑠璃色の」とか「展覧会の絵」、「チョコレートナイト」なんかも復刻なので、その筋の方々には嬉しいかぎり。「ウォーロック」達は是非、創土社の「剣社通信」を覗いてみよう「さあ、ページをめくりたまえ!」
 あ、それとソーサリーのiモード版もアリ。