岡本太郎展に行ってきた!

岡本太郎展
岡本太郎の家を青山まで見に行った翌日、岡本太郎が亡くなったという新聞記事を見て仰天したと言うことは以前無職日記(無職78日目)にも書きましたが、その岡本太郎展に行ってまいりました。
岡本太郎と言えば、バラエティ番組で訳の分からないことを言って、お笑い芸人のオモチャにされていたヘンなオジサンという印象があったのです。しかし、それはとんでもない誤解であったと気がついたのは岡本太郎が亡くなってからでした。
まず驚いたのが、「今日の芸術」という本を読んだときでした。この本を買ったのは渋谷の東急Bunkamuraであったとおもいます。何の展覧会を見に行ったときだったかは覚えてませんが、電車の中で読むのになにか適当な文庫本でもないものかと思って買った一冊でした。そして今日の芸術は、うまくあってはならない、きれいであってはならない、ここちよくあってはならない、という有名な文章を目の当たりにして驚きました。世の中にはいろんな作品がありますが、人の心を動かすのは決して奇麗なもの、巧いもの、心地よいものばかりではなくもっと、こう、見た途端に「なんだこれは?!」と感じさせるようなものであると漠然と思っていた私に具体的な言葉を与えてくれたのです。さらにこの本が凄いのは、芸術のことについて書かれているのに、何か、こう、読むと不思議と力が湧いてくるところがあるのです。
またある日のこと、マスターロムにバグが発見されたため、休日出勤して修正版のEPロムを社内で焼き、佐川急便へその交換用の焼きたてのロムを持ち込んで下請けに送ったその帰り、多摩川沿いをトボトボと歩いていると、目の前に「ひょろ~ん」とした奇妙な物体が現れたのです。
やっと納期調整を終えた矢先のバグ発見、スケジュールを間に合わせるための休日出勤になんとも空しい気分になって歩いていた私の目の前に現れたのは岡本太郎の「誇り」でありました。これがまたなんともイイ形!その日、いつの間にか仕事のことなどすっかり忘れて見入ってしまったのでありました。仕事のことなんかを考えてトボトボ歩くことのなんと馬鹿馬鹿しいことか。
しかしその凄さを真に実感したのは、日記に書いたように私が職を失い、なんとなく訪れた川崎市の岡本太郎美術館でその沢山の作品を見たときでした。
今回の岡本太郎展でその当時の私が見たものと再会することになったのです。そして私は岡本作品と再会する同時に、当時の私と再会するのであります。
椅子
上の赤いのは椅子。会場では実際に腰掛けることができる。なんとも家に欲しくなる一品です。下のは美女と野獣?ネコ?がカワイイ。
岡本太郎の幾つかの作品の中には同じテーマを持つものがあるといいます。この美女と野獣タイプの作品も幾つかあるようで、これは作者がそのテーマに納得できる作品を描ききれていない為、或いは作者が時代によってそのテーマについての考えが変わってきているということなのでしょうか。
ところで、片岡鶴太郎も絵を描きますが、ヘタウマ風に描くためにわざと左手で描くなどという話を聞きましたが本当でしょうか?「うまくあってはならない」っていうのを守ってるのかな?しかし、もし本当ならなんと小賢しい作為であることか!
かつてTV番組で岡本太郎と仕事をしたというのに、あの岡本太郎の全身芸術家とも言うべき激しさからは何も感じなかったのでありましょうか!
リバーシブル?
両面に顔があるこの作品はそれぞれの面が陰と陽って感じですが、なんともナデナデしたくなるような可愛らしさがありますな。これまた家にもって帰りたい、そして飽きることなく眺めたりナデナデしたりしてみたい!!
壁にかけてあった太郎の語録。岡本太郎は私がかつてテレビで見ていた奇妙なオジサンなどというイメージからはとても想像できないほどの偉大な芸術家!
太郎の名言集
雪舟をくだらないと切って捨て、法隆寺は焼けてケッコウと発言。日本の芸術界に挑戦的な態度で挑み続けたと言います。そしてまた一方で縄文式土器や沖縄等を紹介、大阪万博ではあの巨大なモニュメント「太陽の塔」を製作。そして自らの挑発的な芸術論を数多くの著作に残しました。
これほどまでに日本人に芸術について考えさせた芸術家は岡本太郎をおいて他におりません!
こればかりはどんなにメディアにオモチャにされその名誉が貶められたと言っても間違いないのです。いや、今になって考えてみると、あの、テレビでオモチャにされた姿も、「芸術は爆発だ」という言葉もその真意は伝わらずとも多くの人々の記憶に残ったことは確かなのです。そして私たちは岡本太郎の言葉をどこかに刻んだまま長い人生を旅し、いろんな作品に接し、ようやく幾つかの本物に出会う。
そして幸運にも本物との出会いを理解できたそのとき、ようやく自分が岡本太郎に追いついたことにハタと気がつくのです。
「そうか、太郎が言っていた事は、こういうことだったのか!!」と。

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