諌早湾干拓事業

有明海は諌早湾の干潟を堤防で閉じて干拓地を造成しようというのが、諌早湾干拓事業。有明海の環境へ深刻な影響があると言われ、水門を開けて調査すべし、いや開ける必要はないという二つの意見の対立で最近新聞を賑わした。また、水門を閉鎖するときの、シャッターが次々と落ちていく「ギロチン」とよばれた映像はショッキングだった。せっかく諌早まで来たのならば、話題の水門と潮受け堤防を見ておかねばならない。
干拓の里を出て北へ、広大な干拓地と調整池に沿って207号線を潮受け堤防と水門目指して走る。207号線から干拓地に敷設された農道に入る。ゴールデンウィークのせいか、干拓地には人影がまったくなく対向車に遭遇することもなかった。
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水門を真近に見ようと思っていたのに残念ながら立ち入り禁止。諌早湾を横切る全長約7km、高さ7mにも及ぶこの堤防、いつかはその上を歩いてみたいもんだ。


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仕方がないので、潮受け堤防から少し離れた干拓地から水門を眺めた。
平野部の少ない長崎県にとって、干拓地は貴重な穀倉地帯。俺も小学生のころは、諌早平野と言えば稲作と社会の時間に教わった。
潮位差が大きい干潟が広がり、雨が多い諌早湾沿岸地域は、大雨や台風、満潮などが重なるとすぐに水浸しになっていたという。
水門を閉め切り、堤防の内側(調整池)の水位を外の海より1m低くすることで干拓地の排水を促す。また、高さ7mの潮受け堤防は高潮などからも干拓地を守る。
さらに、湾を閉め切った調整池は淡水化するので、これを農業用水として使うことが出来る。
農林水産省のHPの「諌早湾干拓事業について」というコンテンツに詳しくその意義が記されている。この事業は農地造成、用水確保、洪水対策という、まさに一石三鳥の巨大プロジェクトだったのだ!
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かつての海岸線であった旧干拓地の堤防から広大な干拓地を眺める。向こうに見えるのが潮受け堤防と水門、調整池。当初はこの広大な干拓地を農地として利用しようということでこの事業が始まったそうな。が、減反政策などで、既に全国的に農地は余っている状態。長崎県にはこの干拓農地の8倍もの面積の使用されていない休遊農地があるという。防災についても、堤防と水門で諫早湾を閉め切るなんて大仰なことをせずに、ただ単に既存堤防をかさ上げし、排水路と貯水池を整備して強力な排水ポンプを設置するのではいけないのかとの疑問がある。
また、潮受け堤防と水門の閉鎖による海流の変化などが、有明海の生態環境に深刻なダメージを与えているのではないかと、貝やノリといった重要な水産物の漁獲量との因果関係が取り沙汰されている。
干潟から湾入り口まで多様な環境を有するので、有明海は様々な生物が生きていくことが出来る懐深い豊かな海で、かつては「宝の海」であったそうな。ところが、有明海の水揚げは激減。もちろん諌早の干拓による環境の変化だけが原因ではないだろうが。
しかし、干拓事業反対派がいくら騒いでも、事業中止はかなり難しかろうなあ。干拓に関わる企業から自民党長崎県連に7億円くらいの献金が流れてたり、農水省からそれらの企業に沢山の人が天下ってるいるそうだし、干拓事業に従事している諌早市民も黙ってはいまい。中には、当時干拓による防災は人命に関わる問題だと突きつけられて、断腸の思いで諌早湾での漁業権を放棄した人なんかも居るという、今更元には戻れないだろう。堤防の防災効果も疑問視されてるけど、防災効果が全く無いわけではないし。長崎県と諌早市、地元自治体の多くが完成を望んでるんだったら、工事中止はないよな。
この諌早湾干拓事業の総事業費、なんと2,490億円ですって!干拓事業関係者にとっては、海苔や貝の水揚げ量に関係なく、有明海はまさに宝の海なんだね!
【参考リンク】
諌早湾関連情報 (農林水産省)
いさはやひがたネット (諌早干潟緊急救済本部)
よみがえれ!有明海 (「よみがえれ!有明海訴訟」を支援する長崎の会)
諌早湾干拓事業公式資料ぺージ
【地方紙の記事】
長崎新聞諌早湾
熊本日日新聞再生へ有明海
西日本新聞有明海ノリ不作

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