「”日の沈まない帝国”と呼ばれたイギリスが、その強大な力を背景に、植民地の人たちを騙したり脅したりして世界中から宝を集めたモノを収めたのが大英博物館」だと聞いたのは中学生のころだったか。民族の魂とも言うべき宝の数々を奪ったことは誉められるものではないが、人類の歴史を刻んだ宝を喪失から守り研究を進めたという一面もある。とはいえ、「大英博物館の収蔵品」として銅鐸や聖徳太子像や北斎を見るのは面白くない。流出してしまったものは買い戻すしかないのだろうか?そういえばバブル期には日本も印象派の絵画とか買い求めたりしていたなあ。結局、宝とはその時に力のあるものが守り、大切に次代に受け継いでいけば良いものなのかもしれない。
東京都美術館で開催中の大英博物館の至宝展を観てきた。
とても人気があるらしく、平日昼間にも関わらず美術館前には行列が出来ており、約一時間待ちで入場。
人気があるということはいろんな人が来ているということ。平日なのに、教育熱心な親が小学生の息子を連れてきていた。学校を休ませてまで見せたかったのか。子供の方はすっかり疲れてしまっており、親にダッコされながらローマ時代の金貨を前にして「その隣の金貨見せろよ!」などと親に命令。さながら暴君ネロが乗り移ったような横暴さであった。どうせまねるなら自省録を記したマルクス・アウレリウスにしてもらいたい。いや、マルクス・アウレリウスは自分の愚息を後継者に選んだお陰でかなり批判されてたからダメだ。
親もすんなり言うことを聞いてしまっており、なんだか不愉快だった。
さて、そんなことより展示品。すごいモノが沢山出品されている。
「古代オリエント世界」「ヨーロッパ」「アフリカ・アメリカ・オセアニア」「アジア」等のセクションに分けて展示されており、それこそ歴史や美術の教科書に出てくるようなモノがぼろぼろ出てくる。
バッカス像、デューラーの「メランコリア」、レオナルドのトンデモ発明のメモ、ラファエロやミケランジェロの習作には興奮した。他にも素薔薇シイモノがめじろ押し。本物のエジプトのミイラ、サーサーン朝の銀の器、東周時代の猫の像、ハワイのクーカイリモク神像など挙げはじめたらきりがない。こんな人類の歴史を彩るお宝の数々を一度にこの目で見ることが出来るとは!!
いやいや実に素薔薇シイ、満足。こういう展覧会が沢山あるのが東京の良いところ。
地方にはこういうのがなかなか来ないからなあ。
それが、ホントに残念だ。
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