
病院に勤める叔母からカステラを貰った。
カステラは長崎名物として観光客がお土産に買うものであるばかりでなく、長崎に住む人たちの間で贈答品として定着しており、お祝いだのご挨拶だの何かあるとしばしばカステラを贈るのだ。

叔母からもらったカステラは、長崎三大カステラブランドの一つである「文明堂」のカステラであった。

さっそく切って食べてみた。
生地は柔らかく、しっとり。焼き色のついた天面はきめ細やかで艶があり、カステラを載せた皿の模様も映るほど。

底面にはザラメ糖、これこそ長崎カステラのスタンダード!
久しぶりに食べたカステラはとても甘くて柔らかかった。ご馳走さま!

長崎市は江戸町にある文明堂の本店。文明堂は先ほど「長崎三大カステラブランド」の一つと書いたが、その内でもっとも歴史が浅く、明治33年(1900年)の創業。それでも長崎に数ある老舗の菓子商達を退けて今に至ったのは文明堂のカステラの美味しさばかりでなく、創業者の中川安五郎の巧みな宣伝戦略の効果であるという。
創業者の中川安五郎は島原出身、地元で鍛冶職人を志すもどうにも巧く行かず奉公口を求めてさすらい、そのうち菓子職人を志し、当時長崎でも一流の菓子商であった「泉屋」や「福砂屋」などで働いてノウハウを身につけて独立。独立開店の当時から宣伝というものがいかに大事かということを考えていた彼は、開店を知らしめるビラを2〜3000枚印刷して長崎のあちこちに貼ったり配ったりして宣伝したという。その後も宣伝隊を作って長崎市内を練り歩いたり、全国の鉄道沿線に「長崎文明堂のカステラ」と看板を設置したりして文明堂の名ばかりでなく長崎のカステラというお菓子を広く知らしめた。

ヒトの顔のように見えるユニークな文明堂のシンボルマーク。大正時代に当時としては珍しい一般公募で決まったという。ココにも宣伝の巧みさがある。顔に見えるというデザインは人の印象に残りやすい。旧ファミコンなんかもヒトの顔に見えるよな。一度見たらなかなか忘れない。
宣伝の巧みさといえば、「カステラ一番電話は二番、文明堂のカステラ」とかも印象深い。文明堂の電話番号は市外局番以下最後の四桁は0002なのだ。このコピーを電話帳に載せて一気に宣伝した。何たる見事なアイディア、恐るべし文明堂!
そういえば、かつて週間少年チャンピオンで連載されていたギャグ漫画「らんぽう」の主人公「らんぽう」もカステラには目がなく、この「カステラ一番電話は二番」の名コピーを口ずさんではいなかっただろうか?(うろおぼえ)
ちなみに大正時代に出来た東京日本橋の文明堂(現在別会社)も市外局番以下最後の四桁は0002。その他の店舗も0002であったり兎に角2を印象づけようとした番号が目立つ。
また、TVCMも「カステラ一番電話は二番」の名コピーを使って巧みに展開。TVCMには「ひみつのアッコちゃん」や「リボンの騎士」を起用したものもあったという。文明堂ホームページ上では著作権の関係で公表できないそうだが、是非見てみたい!
長崎のカステラ(1)文明堂
食べ物


コメント
文明堂といえば、バンのナンバーも、『・・・2』です。
また、その昔、『太陽にほえろ!』でゴリさんが文明堂の本店でカステラを試食するシーンがありました。
ちなみに、ゴリさんは長崎出身という設定だったと思います。