長崎さるく博~スタンプラリーに挑戦!(1)居留地東山手、大浦、南山手編~

長崎にて長崎さるく博というイベントが開催中。
「さるく」とは歩いて回るとか、ウロウロするとか、そういったニュアンスの方言。「さるく博」とは長崎の史跡や名物をジャンルごとにピックアップして提示、観光客にその史跡や名物を歩いて見物して頂こうというあまり金のかからない体験型イベントだ。
「さるく博」のマスコット
このさるく博のイベントの一つに、スタンプラリーがあると聞いた。
長崎と言えば、かつては本邦で海外に開かれた数少ない窓口の一つであった為、古い洋館、中国風の寺、海外の影響を受けた文化等で知られる。そんな長崎独特の文化を感じさせる史跡や名物を集めて42のコースが作成され、そしてそれぞれのコースにスタンプ台が設置され、スタンプラリーが楽しめるというのだ。
せっかくだから、イベントを盛り上げ、地元長崎に協力するため、このスタンプラリーにこの俺も挑戦しようではないか!!


今回挑戦するスタンプラリーは「長崎遊さるく」。配布されている地図を頼りに自由に長崎の街を探索するというもので、地図にはコースと観光のポイントが解説してあり、そのコース上のどこかにスタンプが設置してある。
長崎さるく博のホームページから「長崎遊さるく」のコンテンツを見て42のコースを確認。それぞれのコースは行程1~3km程度だが、42のコースを全てまともに回っていたらタイヘンな時間がかかるということが分かる。それぞれ魅力的なコースだが、サラリーマンは自由になる時間が限られているのだ。ここはこの長崎さるく博のHPからスタンプ台の位置を確認、コースを無視してスタンプ台へのピンポイント攻撃にて42のスタンプを制覇することにした!(いきなり「さるく」の精神に反しているようだがサラリーマンの休みは短いのだ)
短期間で制覇するために、各スタンプ台への直接ピンポイントアタックをかけるという方針で、攻略のための計画を練る。まず、コースが隣接するものをまとめてそこから攻めていこう。「長崎遊さるく」のページを開いてコースとスタンプ台の位置を確認。居留地~長崎県美術館~出島~新地・唐人屋敷~丸山~浜町~中島川~寺町~諏訪神社~鳴滝というコースで市内を一気に攻略。南長崎方面の香焼~深堀~三和町~野母崎、茂木から東長崎方面の日見~古賀~矢上、長崎県西部の外海、そして浦上~淵神社~稲佐山は機動部隊(車)を使ってスタンプ台近くまで接近して奇襲。伊王島、高島は長崎港の近くに浮かぶ島なので船で別の日に渡ってじっくり攻略するしかない。
と、攻略の道筋をたてて、スタンプラリーにいざ、出発!
まずはご近所から攻めよう。東山手、大浦、南山手の、居留地界隈の三件と拠点施設、フリーゾーンに各一件挙げられている、「ハイカラさんが往来しよらす ~東山手洋館群とオランダ~」、「憧れの上海航路・大浦バンド ~外国人居留地通り~」、「長崎は今日も異国だった ~南山手洋館、港がみえる坂~ 」、「長崎ライトアップめぐり」、「歴史浪漫散策」の計五件。
まずはオランダ坂、活水女学院近くの東山手十二番館と野口彌太郎記念美術館にて、「ハイカラさんが往来しよらす ~東山手洋館群とオランダ~」、「憧れの上海航路・大浦バンド ~外国人居留地通り~」の、スタンプを押す。東山手十二番館は旧居留地私学歴史資料館として利用されており、広々とした庇が印象的。この広い庇が作る日陰の下のベンチに、長崎港のほうを眺めて座っていると心地よい風が吹き抜ける。とても良い感じの建物だ!
東山手十二番館、野口彌太郎記念美術館(旧英国領事館)
赤いレンガ造りの旧英国領事館は現在フォービズムの野口彌太郎をテーマにした野口彌太郎記念美術館として利用されている。この建物は思い出深い。丸窓が目、顔っぽく見えるなあって思っていた赤レンガの建物は、かつて児童科学館として使われており、発電機の模型、小さなプラネタリウム、様々な生物の標本等が陳列された教育施設であった。赤レンガの古い洋館に科学の未来、宇宙の夢、生物の不思議が詰まっているという絶妙のロケーション、幼い頃の俺はこの建物に、この上もなく魅せられた!!児童科学館と呼ばれた頃のこの建物に初めて訪れたときの興奮、あの時のワクワクした気持ちを上回る体験は、未だに無い。
東山手、大浦、南山手辺りにはもっと多くの洋風建築が残っていたし、普通に市民が暮らしていたが、老朽化を理由に幾つかは解体されてしまった。
歴史を象徴する事物を保存していく事はとても難しい。古いものは常に「これは保存する価値があるのか?」という厳しい目に晒されており、そしてもっと多くの価値を生むものに換えてしまおうと企てる人々が涎をたらしてそれを狙っている。また生活する人も、古い洋館よりは清潔で便利な新しい家で暮らすことを望むだろうし、他人がいくらその建物を愛していても、所有者の意向を否定できない。
長崎の洋館
幼い頃から慣れ親しんだ味のある石畳の道も、先日乗ったタクシーの運転手にとっては「観光には良いかも知れないが、車はガタガタ揺れるばっかり」程度のものでしかないようで、そんな感想を聞かされるのは一寸悲しい。
長崎の洋館
左上の石造りの建物は平成二年国指定重要文化財になった「旧香港上海銀行長崎支店記念館」。長崎でも最大規模の洋館だが、この重厚な建物すら解体の危機に晒され、「国際交流会館」等という何のための、誰のための建物か良く分からない、ありがちなオモシロ公共建築にあやうく建て替えられそうになったと言うから実に油断ならない。
大浦あたり
路面電車を脇に眺めながら、大浦あたりを歩く。この路地の奥、階段の手前辺りに駄菓子屋があり、そこで「トランキライザーガン」とか「スクランブル」とか「クレイジークライマー」を遊んだのは懐かしい思い出だ。
斜行エレベーター
次の目的地はグラバー園。今回は南山手を上るグラバースカイロードと呼ばれる斜行エレベーターを使って、グラバー園を頂上から一気に攻め落とす!
本来ならば、グラバー園は下から、動く歩道を乗り継いで港を中心にしたすり鉢状の街の景観が展開していく様子を眺めながら上るほうが良い!と断言したいところであるが、今回は時間も限られているので斜行エレベーターを使おう。
斜行エレベーターの脇の坂
斜行エレベーターに乗ろうとしたら、沢山の観光客で列ができていた。待っているのももどかしい!と思って斜行エレベーターの脇の坂を駆け上る、と意外にキツイ!登っても登ってもつきない階段。しまった!長崎の坂を甘く見ていた!!猛暑も手伝い汗じゅっくい(ぐっしょり)になり、息も絶え絶えになりながら登ったのであった。
南山手レストハウス(南山手乙27番館)
坂を駆け上がったので疲れた!疲れたので予定は無かったが南山手レストハウス(南山手乙27番館)で休憩。テラスの柱が印象的な小さな可愛らしい石造りの洋館は休憩にはもってこいだ。観光客の皆様にもゼヒお勧めしたい!!
旧三菱第2ドックハウス
グラバースカイロードを使って、グラバー園の第二ゲートから入場してすぐの建物が、旧三菱第2ドックハウス。ここの二階のテラスからの港の眺めがなかなか良いが、急いでいるので「歴史浪漫散策」のスタンプを押して、二階には登らず、グラバー邸を脇に眺めながら坂を下って次の目的地南山手地区町並み保存センターを目指した。
南山手地区町並み保存センター
南山手地区町並み保存センターは、幼い頃お世話になった小児科のお医者さん縁の建物!幼い頃風邪をひき、診てもらおうと行った待合室に置いてあった漫画本は、水木しげるの作品集だった。沢山の人が読んだ古書だけがもつ凄み、ボロボロの暗い色のハードカバー、そして本の内容は南方での戦争がテーマであった。主人公が激しい戦闘(明らかに負け戦)をどうにか生き延び、目とか腕とか吹っ飛ぶけど「おっ、生きてる」というせりふをはく。そんな内容だったと思う。風邪で具合が悪いときに読むにはキツイ本であった。ゾッとしたのは風邪による寒気ばかりではなかった。戦争になったら、目とか腕とか、生きるとか死ぬとか、実に軽くなってしまうんだなと思った。
大浦天主堂
大浦天主堂は、西坂で処刑された二十六聖人のために捧げられた教会で、日本最古の教会にして、唯一国宝に指定された教会建築。設計はフランス人プチジャン神父、建築に腕を振るったのは、軍艦島の開発も手がけた当時屈指の天草のゼネコン(?)、棟梁小山秀であったという。
この教会が建てられてからも、日本は依然としてキリスト教を禁止していたが、この教会を浦上のいわゆる隠れキリシタンがコッソリ訪問し、神父に自分達の信仰を告白。実に200年以上に及ぶ幕府禁教政策下の厳しい弾圧にあっても、信仰を捨てずに受け継いできたことを明かした。ここから日本のキリスト教は、復活に向けて動き始めた。鎖国や禁教は、当時の急激なグローバル化による文明衝突を回避するための、日本なりの選択であり有効な政策であったのかもしれないが、いつまでも人のココロは縛れぬもの。この告白はキリスト教の問題ばかりではなく、日本に信仰の自由が生まれる歴史のターニングポイントであった。大浦天主堂はその古さや建物の美しさばかりでなく、そんな劇的な歴史の舞台であったことに、国宝たる価値がある。
それらを踏まえて、劇的な告白のシーンを想像しながら美しいステンドグラス、蝙蝠天井や柱のカーブをじっくり鑑賞したいところだが、先を急ぐので中には入らずに、スタンプ「長崎ライトアップめぐり」をゲット、次の目的地「長崎県美術館」(長崎県美術館めぐり)へと急いだのであった!!

コメント

  1. クラリスカー より:

    WAL様、お疲れさまでした。
    児童科学館…懐かしいですね。
    私は入ってすぐ右の部屋に設置されていた(と思う)、長崎市内の電動模型が好きでした。釦を押すと、街の灯りがついたり、路面電車が走りまわったりして、小学生の私はとても興奮したものです。
    理化部員になっても、行ってました。
    今の長崎市科学館は、日本に数台しかないカールツアイスの望遠鏡がある立派なもので、私のお気に入りなのですが、旧英国領事館時代にあった強烈なオーラは感じられませんね。
    ゲームもしかり、私は、複雑で高度な技術よりも、手作り感が残るものに魅せられる気がします。

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