「小川町の唐子獅子踊」
「長崎くんちモッテコ〜イ」に出演した小川町の唐子獅子踊。
中国よりももっと南の方、ベトナムあたりの伝来であると言われるこの獅子踊は、越後獅子のような日本の伝統的な獅子舞とも、綱渡り等のアクロバットを披露する中国の獅子舞とも違った独特の表情と雰囲気が漂う。
唐子獅子踊はユニークでユーモラスな獅子舞だ。獅子の顔は平らで緑色。
獅子踊の歴史は古く、享保年間にくんちの様子を描いたという「諏訪神事御供町道行図」にこの獅子踊と思しきモノが描かれている。
「諏訪神事御供町道行図」
この「諏訪神事御供町道行図」の右上辺りに唐子獅子踊が!
獅子の他に赤と黒の衣装に身を包んだ子供達が逆立ちなどの曲芸を披露している。
こちらは現代の唐子役の子供達。瓢箪と大きな杯を持って車座に座り酒を飲むという場面を演じる。この演技が超カワイイと評判、会場を湧かせた。
お祭りは共同体の団結を強める役割もある。そのために各世代が参加できるように、大人には大人の、子供には子供の役がしっかりと用意されているのだ。
獅子は「玉使い」と呼ばれる少年が持つ玉の動きにあわせて舞を披露する。日本の正月の獅子舞は威勢がいいとかいなせだとか、そんな表現が似合うし、良く知られた中国の獅子舞はそのアクロバティックな動作に手に汗握るが、この「唐子獅子踊」の獅子は外観も動作もどことなくユーモラス。地面に伏せて眠りに就くという動作は獅子の演し物にはつき物だが、この唐子獅子踊の獅子がこれをやると獅子の顔が平らなのでよりぺたんこに見えて「なでなで」したくなるような何とも言えぬ愛嬌がある。この獅子はその外観も独特でユーモラスだが、その舞のBGMであるお囃子も独特の調子で面白い。
獅子舞と言えば、百獣の王である獅子がその猛烈な牙と吠え声で悪鬼を調伏し病魔を払い、人々に健康と幸福をもたらす、恐ろしげでありながらも縁起の良いもの。が、この「唐子獅子踊」の獅子はそんな迫力が感じられない。
この唐子獅子踊の表情豊かな獅子たちには、子獅子も含めた獅子の一家が、牡丹の花咲き乱れる野に蝶と戯れる、そんなのんびりとした楽しげな風情をこそ感じるのだ。なんて素晴らしい!
獅子と言えば牡丹。
獅子は百獣の王、牡丹は百花の王。
イノシシの肉はボタン。花札の猪鹿蝶、蝶が舞うのは牡丹の札。
獅子身中の虫を鎮めるのは牡丹の花の蜜で、獅子は眠ると大好きな牡丹の花の夢を見る。
「唐子獅子踊」のお囃子の太鼓の上には牡丹の花が飾られている。
この牡丹の花を獅子がむさぼり喰らい、くるくると回るのがこの演し物のクライマックスとなる。
【ムービー】
「長崎くんちモッテコ〜イ」で披露された「唐子獅子踊」の動画。
・「小川町唐子獅子踊(平成16年長崎くんちモッテコーイ)」
karako.wmv(wmv形式、約17MB)
獅子の上半身役が肩車されて反り返って牡丹の花をむさぼり、牡丹の花をくわえて肩車のままクルクルと回るのが見所。またお囃子の太鼓を打つ所作もチョット良い。
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