「長崎くんちモッテコ〜イ」のイベントは、くんち本番でも会場になっている長崎市公会堂前に設けられた踊馬場で開催された。
長崎市公会堂前に設けられた桟敷。提灯が4つしかないのが淋しい。が、まずまずの客の入り。

イベントを盛り上げるオジサン。川船をバックに「モッテコ〜イ」の掛け声を張り上げる。
祭りと言えば、音楽がつき物。共同体を守護する存在へ畏怖と尊敬と感謝を込めた儀式を音楽が盛り上げるのは、「村祭り」の「どんどんひゃらら」よろしく世界共通。長崎のくんちにも笛太鼓で奏でる「シャギリ」と呼ばれる音楽があり、おくんち気分を盛り上げる。他の町の人が自分達の祭りの笛太鼓の音色を聞いたときと同様、長崎人達も「シャギリ」の音色を耳にすると気もそぞろ、仕事も勉強も禄に手に着かぬと言う状態になる。
「シャギリ」とは元々歌舞伎の幕間に流れる曲で、江戸、京、堺などの都の流行文化を取り入れる事が大好きだった当時の長崎市民がくんちに取り入れたという説があり享保年間頃には既に演奏されていたという。「シャギリ」は奉納踊と奉納踊の間、傘鉾が舞う時に流れ、派手な曳き物のお囃子とは対照的に哀愁の趣を帯びており、この「シャギリ」のそこはかとなく淋しげな調べにこそ盛大なお祭り「くんち」の、そして長崎という街の真の姿を垣間見るような気さえしてくるのだ。
くんちでは幾つかの町が「シャギリ」を演奏するが、「長崎くんちモッテコ〜イ」では長崎県の無形民俗文化財に指定されている田中町の方々が演奏した。

くんちで楽器の演奏をする人達は地面に何も敷かずに直に石畳に座して演奏するというしきたりがある。
くんちは神前への奉納なのでゴザなどの敷物を敷くのは「恐れ多い」と言うのだ。天気が悪くても濡れた石畳に直に座って奉納の演奏をするのが「長崎人の心意気」なんだと。同様に諏訪神社で観客が帽子を被るのも無礼であるという。諏訪神社でうっかり帽子を被ったままくんちを見物していると、くんちを我がモノと思うチンピラどもに、「帽子とれ!」などと怒鳴られる。
馬鹿げたしきたりだと思われるかも知れないが、このしきたりが、長崎くんちという祭りやお諏訪さんと長崎市民の特別な関係の象徴で、この事について長崎市民以外に語るときの重要なネタになり、長崎くんちの大事な特徴となっているのだ。
さて、今回の「長崎くんちモッテコ〜イ」ではお諏訪さんへの奉納さながらに、その「シャギリ」の「道中」、「本道中」、「諏訪入」という三曲が続けて演奏された。
【ムービー】
「長崎くんちモッテコ〜イ」で披露された「シャギリ」演奏の動画。
・「シャギリ(平成16年長崎くんちモッテコーイ)」
syagiri.wmv(wmv形式、約12.5MB)
締太鼓を打つときの手首の返し方がカッコイイ!



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